これから、時々オンライン日本語教育の実践報告を、ちょいちょいあげてみようと思います。こんな支援ができる日本語教師は、なかなかいないんじゃないかと勝手に自負しています。
■学習者プロフィール
出身:香港
居住地:都内(日本人の奥さんと二人暮らし。結婚を機に帰化。)
経歴・スキル概要:IT・AIエンジニア、開発PM経験豊富なジョブホッパー
語学:広東語ネイティブ、英語・日本語上級 発音は中国語アクセント強め
目標:国内の外資系企業に転職し、ヨーロッパの支社に出向になること(ヨーロッパで働きたい)
■レッスン内容
学習目標:転職先の面接の課題を準備すること
希望職種:ITコンサルタント
面接前の課題:ある業種の典型的なDX化課題を自分で選択し、それに対するソリューション案を、模擬提案書に落とし込んでプレゼン
お客様へのシステム化提案を想定した、模擬プレゼンがお題として与えられているとのこと、提案内容と日本語とを一緒にレビューすることになりました。
フィードバックしたこと
- 内容面:システム導入ありきの、システム屋さん都合になっている。システムを導入しない、部分的に導入、など複数オプションを提示して、比較評価し、システム化が最も投資対効果が高いのだ、というふうに見せないと、お客様はお金を出してくれないよ。
- 内容面:お客様の課題に1・2・3と番号をつけ、それに続く原因や解決策もそれら番号に紐づくように表現すると、整理しやすいよ。
- 日本語面:漢字の語彙で体言止め、でなるべく文末を統一して、簡潔かつ格調高く。
例)〜に変えます → 〜に変更
例)〜が増える → 〜が増加、増大
このあたりをみっちり1時間一緒に考えて、翌日(特別に日曜日に1時間だけ解放)に修正版のプレゼンを見せてもらって、簡単に通しリハをしながらスライドの流れを確認。
プレゼンのコツ:次のスライドに映る時に、つなぎ言葉を入れて、ストーリーとして通す
ダメな例)次は、・・・です。
いい例)これら課題の解決策を、(次のスライドで)ご提案します
スライドはだいぶ仕上がってきたので、あとはしゃべり・プレゼンテーション。ストーリーとして話せるかという点と、中国語のアクセントをできるだけ抑えてわかりやすい日本語で話せるか。
一人で改善する方法として、プレゼンの様子を録音または録画して自分で聞いてみることを提案しました。
目標に向かって、確実に一歩進んでほしい。応援しています。
■レッスンのポイント
- お客様目線に立った、わかりやすく、判断しやすい提案資料の作り方
(スライドの論理構成、図表などのビジュアル) - ITコンサルタントにふさわしい、簡潔で格調高い日本語の使い方