個人でのオンラインレッスンでは、生徒がふと予約を止めて連絡が途絶えることがあります。初見の場合だったら、まあ合わないと思ったんだろうなと、気にしないことにしています。相性みたいなものは、どうしてもあるので。
しかし長期につづけてくれた方が、連絡もなしにいきなり止まると、ちょっと気になります。
■学習者プロフィール
出身:カナダ
居住地:東京
経歴・スキル概要:システムエンジニア 管理職
語学:英語ネイティブ、日本語は中上級(職場では英語のみ、日本語不要)
目標:しばらくやめていた日本語学習を、まずは再開する。日本語学習を習慣化・生活の一部にする。
■カウンセリング内容
2019年の11月を最後に連絡もレッスンも途絶えていたあるカナダ人男性(英語ネイティブ)が、先週久しぶりにメッセージをくれました。そこに、丁寧な日本語でこう書かれていました。
『数年間、過去に相談もせずにレッスンをやめてごめんなさい。
前の数年、人生は困難なものでしたが、今は状況が良くなっていたので、
また真剣に日本語の勉強を始めようと思っています。』
”人生は困難なもの”
この言葉を見て、ドキッとしました。一体どうしたの??会社をクビになったとか、身内に不幸があったとか、いやまさか?それなりにつらい出来事を想像してしまいます。
でも、「忙しかった」という意味かなと想像しました。レッスンをストップする当時、結婚してすぐに子供ができて、もうすぐ生まれるところでした。だから、家庭を優先したのではないかと。いや、もし文字通り” life was difficult” だとしたら、一体何があったんだろう・・・
久しぶりのレッスンが始まって一通り挨拶した後、彼の方からこう聞いてきました。
「”人生は困難”という言い方は、どう思いましたか?」
「ん・・・・結構、シリアスなイベントがあったように感じました。」と答えたら、
「そうなんです。」
「え・・・?」
実は、奥さんと離婚して、3歳になる男の子を男手一人で育てているとのことでした。ペットの犬も。家も2回ほど引っ越したようです。理由は聞きませんでした。それは、たしかに ”人生は困難” だったね。
私の方も一通りここ最近の状況を伝えつつ30分ほどフリートークした後、さてと。日本語のレッスン、どうする?どうして、また再開しようと思ったの?という話を始めました。ここで、キャリコンの傾聴スキルを生かします。日常生活の日本語を学びたいとのことだったので、彼の「日常生活」のどんな場面で日本語を使うか話してもらいました。
- 子供の保育園で、子供の様子などを先生と話す
- 病院で先生と話す(ワクチンを打つ時、など)
- 役所で手続きするとき
- フットサルチームで練習するとき
- 子供の習い事に連れて行った時
なるほど。当たり前だけど、以前と違って、子供にまつわる行事が増えたな。これまで、なんだかんだ言って、一人で乗り越えてきたんだね。そういう、彼にとっての日常生活に役立ちそうなトピックを選んでいこう。
もともとあまり宿題をしないし、試験勉強とかドリル練習とか好きじゃないタイプだったので、宿題とかどうする?と聞いたら、
「学習を習慣にしたい」
とのこと。宿題は出すが、するかどうかは任意、
勉強したかったらしてもいいし、しなくても手ぶらでレッスンに来て、
とにかくこの場に来るということを続けよう、ということにしました。
慣れてきたら、宿題を増やしたいと言ったり、自分で勉強始めたりするでしょう。
一人の人生に再度寄り添っていけることをありがたく思いつつ、今後を楽しみにしたいと思います。頼ってきてくれてありがとう。